学校の課題などで、読書感想文を書くのに困っていませんか?
感想文はざっくりいうと『あらすじ+感想』ですが、実はあらすじを書くのが至難の業なのです。
どんな話か全体をまとめたり、印象的な場面を切り取ったり。
どちらも短い文で読む人に伝えなければなりません。これって小学校高学年でも難しいですよね。
最近は、書き方シートのようなものもありますが、質問の答えを埋めてもなかなか感想文は書けません。
今回は、コピペOKではありませんが「羅生門」を題材にした読書感想文の2000字の例文と、その書き方について解説します。
実際に書く際に役立つポイントや、他の人と差をつけるコツも一緒にご紹介しますので、ぜひ参考にしてください!
「羅生門」あらすじ
概要
「羅生門」は、芥川龍之介が1915年に発表した短編小説です。この作品は、平安時代末期の京都を舞台に、失業した下人が羅生門の下で遭遇する出来事を描いています。下人は、明日の生活に困窮し、途方に暮れていたところ、羅生門の上で死体の髪の毛を抜いている老婆と出会います。この出会いを通して、下人は道徳的なジレンマに直面し、その結果、彼自身の行動にも大きな影響を受けます。
あらすじ
物語は、ある夕暮れに一人の下人が羅生門の下で雨やみを待つ場面から始まります。彼は、近年の災害や飢饉によって荒廃した京都の町の中で職を失い、途方に暮れていました。羅生門はすでに荒れ果て、人々は近寄らない場所となっていました。
下人は羅生門の上へと上がる梯子を見つけ、上へ行くことにしました。すると、そこで一人の老婆が死体の髪の毛を抜いている場面に出くわします。老婆はその髪の毛を鬘(かずら)にするために抜いていたのです。老婆は、自分が行っている行為を「生きるために仕方がない」と説明し、その正当性を主張します。
下人はこの話を聞き、老婆の行為を非難する一方で、自分も生き延びるためには手段を選ばない決意を固めます。彼は老婆の着物を剥ぎ取って逃げ去り、老婆はその後、下人の行方を知ることはできませんでした。
「羅生門」の読書感想文を書く際のポイントと、他の人と差をつけるコツ
登場人物の心情の変化を丁寧に描写する
- ポイント:物語の中で、下人の心情がどのように変化するかをしっかりと把握し、その変化の理由や背景を説明します。特に、下人が老婆と出会ったことでどのように心が動かされ、その結果どんな行動を取るようになったのかを詳しく書くと良いです。
- コツ:具体的な引用を使って、下人の心情の変化を示すと説得力が増します。例えば、「下人は老婆の行動を見て、最初は恐怖を感じましたが、その後、憎悪へと変わっていきました」と書くときに、該当部分の文章を引用します。
物語の背景と現代の問題を結びつける
- ポイント:物語が書かれた時代背景を理解し、それを現代の社会問題と比較して考えることで、読者に新しい視点を提供します。例えば、「羅生門」の中で描かれている貧困や道徳の問題を、現代の社会における格差問題や倫理観と関連付けて考察します。
- コツ:例えば、「現代でも貧困によって道徳心が揺らぐことがあります。このような状況は、羅生門の時代と同じように深刻です」といった形で、自分の考えを述べると良いです。
自分自身の体験や感情とリンクさせる
- ポイント:物語を読んで感じたことや、自分自身の経験と結びつけることで、感想文に個性を持たせることができます。読者が感情移入しやすくなり、他の感想文と差をつけることができます。
- コツ:例えば、「私も困難な状況に直面したことがありました。その時の気持ちは、下人が感じた絶望や不安と似ていると思いました」といった具体的なエピソードを交えると、より共感を得やすくなります。
これらのポイントを活用して、独自の視点や感情を盛り込みながら、読書感想文を完成させてください。頑張ってくださいね!
コピペOKではないけど使える読書感想文の例文2000字
ここでは、「羅生門」を読んだ感想を基に、どのように感想文を書くかの一例を示します。
具体的なシーンや登場人物の行動を引用しながら、それが自分にどのような影響を与えたかを書きます。
感想文の最初には、読みたくなるような面白い導入部を書き、最後には、読者に考えを問いかけるような結論を用意します。
これによって、感想文全体がより魅力的になります。
読書感想文:芥川龍之介『羅生門』2000字の例文
はじめに
芥川龍之介の『羅生門』は、私にとって衝撃的な作品でした。物語は、平安時代末期の京都を舞台に、一人の下人が荒廃した羅生門で経験する出来事を通じて、人間の内面の葛藤や道徳観について深く考えさせられる内容です。この感想文では、登場人物の心情の変化、物語の背景と現代の問題の関連、自分自身の経験と重ね合わせた感想を述べたいと思います。
登場人物の心情の変化
物語の主人公である下人は、職を失い、明日の生活に困窮している状況にあります。最初、彼は羅生門の下で雨やみを待ちながら、絶望と不安に苛まれています。しかし、物語が進むにつれて、彼の心情は大きく変化していきます。
最初に下人が感じるのは恐怖です。彼が羅生門の上で出会った老婆が死体の髪の毛を抜いている光景に衝撃を受け、恐怖に身をすくませます。老婆が火の光を頼りに死体の髪を一本ずつ抜いている姿は、非常に不気味で、下人は「頭身の毛も太る」ような恐怖を感じます。しかし、その恐怖は次第に憎悪へと変わっていきます。老婆の行動に対する怒りが芽生え、下人は「許すべからざる悪」として彼女に立ち向かう決意をします。
下人の心情の変化は、彼の行動にも影響を与えます。最初は老婆に対して恐怖と憎悪を感じていた下人ですが、老婆の話を聞くうちに彼自身の道徳観も揺らぎ始めます。老婆が「饑死をするくらいならば仕方がない」と語る場面では、下人もまた、自分自身の生きるための選択肢を再評価することになります。この瞬間、下人の心には新たな勇気が生まれ、最終的に彼は老婆の着物を奪い取るという行動に出ます。この行動は、下人が自身の生存本能に従った結果であり、物語のクライマックスとして非常に印象的です。
物語の背景と現代の問題
『羅生門』は、平安時代末期の京都を舞台にしていますが、その背景には現代の問題とも通じる部分が多くあります。例えば、物語に描かれる貧困や荒廃した社会の描写は、現代における経済格差や社会的弱者の問題を彷彿とさせます。
現代社会でも、貧困や経済的な困難に直面した人々が、道徳的な選択を迫られる場面は少なくありません。例えば、生活に困窮した人々が犯罪に手を染めるケースや、倫理的に疑問のある手段で生計を立てるケースなどが挙げられます。『羅生門』に登場する下人も、まさにそのような状況に置かれており、彼の心情や行動は現代の私たちにとっても理解できる部分があります。
特に印象的なのは、下人が老婆の行動に対して感じた憎悪と、それに続く自らの行動の変化です。現代の社会でも、他人の行動に対する評価や判断は、その人自身の価値観や道徳観に大きく影響されます。下人が最終的に老婆の着物を奪い取るという行動に至った背景には、彼自身の生存本能や倫理観の揺らぎがあり、この点は現代の私たちにとっても重要な教訓となります。
自分自身の体験や感情とリンクさせる
『羅生門』を読んでいるうちに、私自身の経験や感情ともリンクする部分が多くありました。例えば、下人が感じた絶望や不安は、私自身が困難な状況に直面した時の気持ちと似ています。日々の努力が実らず、目標が遠のいていく中で将来への不安や焦りが胸を締め付け、暗闇の中で迷子になったような途方に暮れる気持ちを味わいました。
また、下人が老婆に対して感じた憎悪や倫理観の揺らぎも、私自身の経験と重なる部分があります。ある時、友人がテストでカンニングをして高得点を取ったのを見た時、私は強い憤りを感じましたが、自分も同じ状況なら同じ行動を取るかもしれないと考えさせられました。
『羅生門』を通じて、人間の心の複雑さや道徳観が揺らぐ極限の状態があるんだということを学びました。下人の心の変化や行動を通じて、自分の経験や感情を再評価する機会となり、この物語の持つ深い意味に気づかされました。
結びに
芥川龍之介の『羅生門』は、平安時代末期の荒廃した京都を舞台に、人間の内面の葛藤や道徳観について深く考えさせられる作品です。下人の心情の変化、物語の背景と現代の問題の関連、自分自身の経験と重ね合わせた感想を通じて、私はこの物語が持つ深い意味を理解することができました。『羅生門』を読むことで、人間の内面の複雑さや道徳観の揺らぎについて学び、自分自身の価値観を再認識する機会となりました。この感想文を通じて、他の人にも『羅生門』の魅力と深い意味を伝えたいと思いました。
また、この作品を通じて学んだことは、どんな困難な状況に置かれても、自分自身の道徳観を持ち続けることの大切さです。困難な時こそ、自分の信念を見失わずに前に進む勇気を持ちたいと思います。
このような深い意味を持つ『羅生門』を読むことで、私は自分自身の内面と向き合い、成長することができました。これからも、芥川龍之介の作品を通じて多くのことを学んでいきたいです。
いかがだったでしょうか?
芥川龍之介は「羅生門」で、人間の内面に潜む葛藤や、極限状況における道徳観の揺らぎを描くことで、現実の厳しさや人間の弱さを問いかけています。
彼は、人間が困難な状況に置かれたときにどのような選択をするのか、その選択がどれほど複雑であるかを読者に示し、考えさせるきっかけを与えているのではないでしょうか?
この作品は、今の時代に生きる私たちにとっても、大切な教訓を含んでいます。
ぜひ一度、「羅生門」を読んで、芥川龍之介が伝えたいメッセージを感じて、あなたなりの読書感想文を作成してみてください。
読書が楽しくなる!もうひとつの方法とは?!
多くの人にとって『羅生門』は教科書にも載っていた、なじみの深い作品だと思います。
そんな有名作品の、別の味わい方をご存じですか?
それは、物語を「耳で聴く」というものです。
まだ字が読めない幼い子どもたちにとって、耳からたくさんの豊かなことばを聴くことが、その子の将来によい影響をあたえることは、多くの学者が指摘しています。
ゲームやアニメにかこまれた子どもたちに、いいお話を聞かせることは、豊かな心を育てることでもあるのです。
私が初めて物語を「耳で聴く」というものを体験したのは、今から約20数年前の大学時代のこと。石川県金沢市にある「室生犀星記念館」で、ヘッドホンを使って、室生犀星の作品をナレーションで静かに聴いた時でした。
普通、読書というのは「文字を目で読む」ことによって、目から入った文字情報をアタマの中で映像に変換してその内容を理解していくものです。
しかし、ここで体験した文学を「耳で聴く」ことは、目を閉じてあたかも音楽を聴くような感覚で文学を楽しむことができる、本当に新鮮で衝撃的な体験でした。
今で言うと「癒し」という感覚に近いと思います。目を閉じてリラックスした状態で良質な文学などの作品を味わうことができるため、作品の世界の中に驚くほど引き込まれます。
しかし、残念なことに、当時はそのような「文学を耳で楽しむ」方法や媒体は、かなり高価な金額を出さないと体験できないものでした…。
そして、現在。今ではオンラインで安価にそれを体験できる時代になっていることを私は知りました(驚)。
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