成瀬は天下を取りにいくは面白くない？その理由を徹底解説

2024年5月26日

　「成瀬は天下を取りにいく」は、宮島未奈さんが本屋大賞を受賞した作品であり、その評価にふさわしいと感じています。

　しかし、中には「面白くない」と感じている人もいるようです。その理由や魅力について私なりに詳しく見ていきたいと思います。

本屋大賞受賞作としての期待値

　まず「成瀬は天下を取りにいく」は本屋大賞を受賞した作品であり、そのため多くの人々が高い期待を持って読み始めます。

　しかし、期待値が高すぎると、実際に読んだときに「思っていたよりも…」と感じてしまうことがあります。

　「読んで面白い」と思う方もたくさんがいますが、その反面、期待値に届かないと感じる人もいるのは自然なことです。

　この物語は、成瀬というユニークなキャラクターを中心に、淡々とした日常が描かれています。特に、西武大津店の閉店やM-1出場といったエピソードは、「いかにも…」な展開に見えるかもしれません。しかし、この淡々とした日常の中にこそ、成瀬の魅力が隠れています。

　成瀬は「200歳まで生きる」という大きな目標を立て、その達成のために規則正しい生活を送り、周囲に良い影響を与える行為を積み重ねています。彼女の行動には一貫性があり、その真剣な姿勢が魅力的です。

　しかし、彼女の行動や考え方に共感できないと感じる人もいるようです。成瀬の独特なキャラクターは、人によっては「なぜそんなことを？」と思わせる要素が多いため、好みが分かれるポイントです。

　この物語は6つの章に分かれています。第1章、第2章、そして第6章は、主人公の成瀬と友達の島崎の友情物語です。

　でも、第3章はちょっと変わっています。第3章では40代のおじさんの視点で物語が進みます。おじさんは成瀬と島崎の友情に少しだけ関わっていますが、この章自体はあまり重要ではない気がしました。第3章を読まなくても、物語の大事な部分は理解できるんです。

　第1章と第2章では、成瀬と島崎の友情がどんどん深まっていき、第6章の「ときめき江州音頭」で物語はピークに達します。でも、第3章のおじさんの話が突然入ってくると、物語の流れが途切れてしまいます。成瀬と島崎の話に夢中になっているのに、おじさんの話が入ることで「あれれ？？」となってしまいます。

　筆者は、いろいろな視点から物語を見せたかったのでしょう。でも、この章は物語のテンポを乱しているのでは？と感じられました。

　そして、第4章での大貫の成瀬に対する敵意は、読む人によっては違和感を覚えるかもしれません。大貫は成瀬に対して過剰な敵意を持ち、その感情が物語全体に影響を及ぼしています。彼女の存在は、物語の緊張感を高める一方で、成瀬に対する強烈な敵意が理解しにくいと感じる読者も多いのではないでしょうか？

　全体として「成瀬は天下を取りにいく」は非常に満足のいく作品です。特定の章やキャラクターに対する違和感があるかもしれませんが、物語全体の完成度は高く、次回作への期待も膨らみます。

　「成瀬は天下を取りにいく」は、読む人にとっては「面白くない」と感じられるかもしれませんが、その魅力は確かです。

　成瀬のユニークなキャラクターと物語の深みを感じられる作品です。もし、まだ読んでいないのであれば、ぜひ、Audibleでの体験も試してみてください。初回無料の30日間聴き放題で、成瀬の世界に触れてみてはいかがでしょうか？