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『赤い蝋燭と人魚』のあらすじと考察を解説

 「赤い蝋燭と人魚」は、小川未明による日本の児童文学の短編で、1921年に発表されました。

 この物語は、人魚の娘が老夫婦によって育てられるという切なくも美しい物語です。

 そして、人魚という普通とは違う存在が、どのように社会に受け入れられたり、また拒絶されたりする様子を描いています。このことを通して、昔の日本での異文化や他の人を理解することの難しさを表しています。

 この記事では、物語のあらすじから、考察をわかりやすく解説します。

 「赤い蝋燭と人魚」の持つメッセージや、作品の奥深さを知るきっかけになれば幸いです。

『赤い蝋燭と人魚』のあらすじ

主な登場人物

  • 人魚の母: 子供を幸せにするために人間の世界に送り出す。
  • 人魚の娘: 非常に美しい外見を持ち、人間の世界では珍しい白い蝋燭に美しい赤い絵を描くという才能を持っている。
  • 老夫婦: 娘を見つけて育てるが、最終的には金銭に目がくらんで娘を売る。
  • 香具師(やし): 娘を買い取り、南の国へ連れて行こうとする。

あらすじ

物語の舞台は北の海。人魚は冷たい海の中で寂しい生活を送っていました。彼女は人間の世界の温かさと優しさに憧れ、自分の子供だけは人間として幸せに暮らしてほしいと願っていました。ある夜、人魚は陸に上がり、海岸の近くに住む老夫婦のもとに自分の赤ん坊を置いていきました。夫婦はこの赤ん坊を見つけ、神様からの授かり物だと信じて育てることにしました。

赤ん坊は成長し、美しい娘となりましたが、下半身が魚の形をしていました。彼女は自分の姿を恥じて外に出ませんでしたが、絵を描く才能がありました。彼女が描く海の生き物の絵は不思議な力を持ち、人々はその蝋燭を買い求めました。特に、彼女の描いた蝋燭をお宮に奉納し、その燃えさしを持って海に出ると、どんな嵐でも船が無事であるという噂が広まりました。

しかし、南の国から来た香具師(やし)がこの娘を見つけ、大金を積んで彼女を買おうとしました。最初は拒んでいた老夫婦も、次第に金に心を奪われ、娘を香具師に売り渡すことに決めてしまいました。娘は南の国に連れて行かれることを恐れ、泣いて夫婦に懇願しましたが、聞き入れられませんでした。

香具師が娘を連れ去る夜、娘は悲しみに満ちた心で赤い蝋燭を描き続けました。その中のいくつかを自分の悲しい思い出の記念として残しました。その夜、謎の女が赤い蝋燭を買いに来て、翌日、大暴風雨が発生し香具師の船は難破しました。

その後、赤い蝋燭が灯される夜には必ず大嵐が起こり、不吉なものとされました。蝋燭屋の老夫婦も商売を辞め、町も廃れていきました。夜の北の海には恐ろしい波がうねり、月明かりに照らされた波の上に赤い蝋燭の光が漂う姿が見られるようになりました。町は幾年も経たずに廃墟となり、人々の記憶から消えていきました。

 この物語を通じて、人間の欲望がどれほど恐ろしい結果をもたらすか、そして異質な存在とどのように向き合うべきかを考えさせられます。

 人魚の娘の悲劇的な運命を通じて、私たちもまた、他者に対する優しさや理解の重要性を学ぶことができます。

小川未明(おがわ みめい)について

引用元 新潟文化物語

 この物語を書いた小川未明(おがわ みめい)は、日本の児童文学作家であり、多くの心に響く作品を生み出しました。

 彼は1882年に新潟県で生まれ、1951年に没しました。未明は、その豊かな想像力と深い人間理解に基づいた物語で知られ、「日本のアンデルセン」とも称されます。

 彼の作品は、子供だけでなく大人にも深い感動を与えるものが多く、今もなお多くの人々に愛されています。

 「赤い蝋燭と人魚」もその一つで、人間の心の奥深くにある愛や欲望、悲しみといった感情を繊細に描いています。

『赤い蝋燭と人魚』の考察

「赤い蝋燭と人魚」は、人間の愛と欲望、そして自分とは違う存在をどう受け入れるかについて深く考えさせられる物語です。物語の中心にいる人魚の娘は、人間の世界で幸せに暮らすことを夢見ますが、最後には老夫婦の欲望によって売られてしまいます。この老夫婦の心の変化は、人間の弱さや欲望の恐ろしさを表しています。彼らが娘を売る決断をしたとき、人間の心の中にある欲望がどれだけ大きな力を持っているかがよくわかります。

また、「赤い蝋燭」の意味もとても面白いです。最初は守ってくれるものや幸せの象徴として描かれていますが、物語が進むと不吉なものに変わります。この変化は、人間の行動や選択がどれだけ大きな影響を与えるかを示しています。

この物語は、自分とは違う存在とどう関わるべきかや、自分の行動が他の人にどう影響を与えるかを考えさせられます。愛や優しさだけでなく、欲望や裏切りなどの人間の悪い面も描かれており、深く考えることができます。

 「赤い蝋燭と人魚」を読むと、自分の心の中にある愛や欲望について考え直すきっかけになります。また、他の人との関わり方についても新しい見方ができるようになります。

 この感動的な物語を、ぜひ一度読んでみてください。




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