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変な絵の佐々木はどうなった?栗原の怪我の原因を考察【ネタバレあり】

 映画や書籍の「変な家」の大ヒットで注目を集める雨穴(うけつ)さんの第2作「変な絵」。

 こちらも60万部以上を売り上げる大ヒットとなっています。ミステリー好きの私はもちろん読みましたが、あなたは読みましたか?

 ミステリー好きなので、私もいろいろと疑いながら読んでいくのですが、読んでいて「あれ?ここも何かの伏線?」と思われる箇所が出てきます。

 気になる人物。若き日の「栗原」の先輩として登場する「佐々木修平(21歳)大学生」のことです。

 このブログを読んでいるあなたも、私と同じように、「変な絵」の第一章の最後文章…「どこまで走っても、栗原と再会することはできなかった。」という伏線っぽい表現が気になっているのではないでしょうか?ミステリー好きとしてはつい止まってしまいますよね。

 なんだ?この思わせぶりなこの文章…そして、この後「佐々木」は作中に登場しないのです。???

 気になりますね…。その後「佐々木」はどうなったのでしょうか?そして「栗原」の怪我の原因は?

 このブログでは、大学時代の若き「栗原」の先輩である「佐々木」について、私の考察を述べたいと思います。

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佐々木の行動を時系列で整理してみる

 意味有り気な位置を占めている「佐々木」を理解するために、まず、作中からわかる情報を整理します。

2014年5月19日 佐々木は栗原に勧められた「七篠レン 心の日記」を見る。

2014年5月20日 学食で栗原と会う。放課後栗原と部室に行き、部室を出た2人は、夕飯を食べ、それぞれの帰路についた。

佐々木は、栗原に会いたくなった。栗原の解釈を聞きたかった。

方向転換して、元来た道を走り出す。まだ遠くには行っていないはずだ。

しかし、どこまで走っても、栗原と再会することはできなかった。

「変な絵」第一章より/雨穴/双葉社

 次に、栗原と佐々木の会話を見てみましょう。

「佐々木さん。就活忙しいのに、今日は付き合わせちゃってすみませんでした。」

「久しぶりにサークル活動できて楽しかった。ありがとな」

「こちらこそ。明日からまた忙しいんですか?」

「ああ。明日は説明会が2社入っている。それが終わったら講義だ」

「大変ですね。僕はあのブログについて、色々考えてみようと思います」

「じゃあ、真相がわかったら教えてくれよ」

「はい。必ず」

「変な絵」第一章より/雨穴/双葉社

 佐々木は、企業の説明会に2社参加する予定があり、その後に講義もある多忙な日々を送っているようです。

 作中の冒頭では「21歳の大学生」で東京の大学生で就職活動中とあるので、浪人せずに大学に進学し3年生になったばかりの5月を迎えているのでしょう。

 佐々木はオカルトサークルに所属し、その後輩である「栗原」と大学の食堂でばったり会い、一緒に食事をすることになったと書いてあります。ここ最近は就活が忙しく、めったにサークルに顔を出せていなかった、とあります。

 オカルトサークルというのは、テニスサークルとかイベント系サークルと比べると、かなり陰気な印象ですよね。それはそれとしても、佐々木は、サークルの中でも「かなりクールな」後輩である栗原が、「熱を込めて話す姿にただならぬものを感じた」と佐々木の栗原に関する印象が描写されています。

 一方、作中には、就活で忙しい佐々木を部室に誘った栗原が「佐々木さん、最近部室に来てくれないから寂しかったんですよ」という発言と、それを受けた佐々木が「お前、寂しがるようなタマじゃないだろ?」と言いながら、講義のあとで部室に寄ると言う佐々木に栗原がにっこりするという場面が描かれます。

 ちょっとマニアックなサークルに所属する先輩と後輩。決して、それほど親しい関係性には見えませんが、先輩である佐々木は後輩の栗原をクールな男だが同じ趣味を持つ者として、その洞察力に一目置いている感じがします。そして、その想いは、後輩である栗原から「寂しかったんですよ」と言われたことで強くなっていったのだと思います。

 それが「栗原に会いたくなった、栗原の解釈を聞きたかった」という表現に凝縮されているように思います。しかし、その佐々木の想いは叶うことなく、佐々木は大学を卒業することになるのです。

栗原が足を骨折したのは、なぜ?栗原の行動を時系列で整理してみる

 そして最終章、事件を追い求めていた「熊井」が入院しているところに、全く別の角度からこの事件を調査していた「栗原」が再登場します。時系列で整理してみましょう。

2015年4月24日 熊井勇、直美に刺される

2015年4月24日 直美逮捕

2015年?月??日 熊井が退院する数日前に栗原入院

 作品の最後に、まさかの再登場の栗原君。しかも、足を骨折していて、事件解決のキーマンである「熊井」の隣のベットで入院しているのです。偶然にもホドがあるでしょう!!

 私は、栗原が足を骨折したのは、栗原が直美と接触し危害を加えられたのでは?などと妄想しましたが、熊井が入院した時には、直美は逮捕されているので、さすがに事件に無関係の人間である栗原が、直美に接触したとは考えられません。

 しかもこの栗原君。驚くべき提案を、事件解決の重要な関係者でもある熊井に対して行います。さすがに、美味しいところを持って行き過ぎの感が否めません。格好良すぎますね。

 作中の熊井も、私たち読者と同じように「なんだこいつ?!」と思った様子で、栗原に「どうしてあんたはこの事件にそこまで肩入れしている?興味本位で追っかけてきた…言っちゃ悪いが、ただの野次馬だろ?」とストレートに尋ねます。

 そのドストレートな質問に対して、栗原は、以下のように答えるのです。

以前、大学のサークルの先輩に言われたんです。「ブログの真相がわかったら教えてくれ」って。その人、もう学校を卒業しちゃったんですけど、いつか再会したら、約束を果たしたいと思っています。そのときのために、事件には円満に解決してもらわなきゃ困るんです。そうじゃないと気持ちよく話せないでしょ?」

「変な絵」最終章より/雨穴/双葉社

 あなたは、栗原のこの回答をどう思いますか?私は、初めに読んだ時は「えっ、そんな理由で、ここまで追っかけるの?!」と思いました。つまり、熊井の表現を借りれば、栗原君が「この事件に肩入れする」理由としては弱いのではないかと感じたのです。

 でも、自分の学生時代やサークルの先輩との関係性を振り返ってみて、自分にググっと引き寄せて想像してみた時、少し栗原君の気持ちがわかるような気がしたのです。

 だいたい文化系のサークルというのはそこに所属する者同士の”共通言語”があって盛り上がれるから集まっているのです。そういう限られた”仲間同士”だからこそ、大切にしたい関係性があるのだと私は思います。

 栗原君は、自分のオカルト趣味に興味を持ち、よく話も聴いてくれた先輩に親近感を感じていたと思います。それは先輩である佐々木が「クールな栗原」に感じていたものよりももっと強い親近感だったのではないかと思います。そしてその佐々木は、作中から推測すると2015年3月に無事に卒業し社会人として羽ばたいていったのです。

 栗原は、卒業していく佐々木にお別れを言う機会もなく、あるいはそこまでの関係性でもなく、作中の冒頭以降会う機会は無かったのでしょう。でも、自分が関心を持った事件に共感し、話を聴いてくれた先輩への親近感は消えないのです。だから、もし先輩に再会する機会があるならば(…もしかしたらその機会は無いかもしれないけど…)その再会の時のために、この悲劇に少しでも温かいものを加えたいと考えたのだと私は思います。

 結論から言えば、佐々木は事件への関与はなかったのです。原作者である雨穴(うけつ)さんは、オカルトサークルという限られた世界で”共通言語”を持つ佐々木と栗原の関係性を描くことで、「変な家」「変な絵」などの「変な」シリーズの重要登場人物である「栗原」の人物像を描こうとしたのだと思います。

 もちろん「若かりし頃の栗原君」を描くことは、今後の「変な」シリーズにも登場していくであろう「栗原さん」のキャラクターや立ち位置を描くうえで、作品に時系列的な深さを出す効果もあるでしょうから、雨穴(うけつ)さんは、そのあたりも狙ってあるのかもしれません。

 「栗原さん」をまとめるとすると、こうなるでしょうか。彼は、学生時代にオカルトサークルに所属、異常なほどの探究心を持つ。そして一見クールだが義理堅さもある…。私としては、今後も「変な」シリーズの続編が出る時の、栗原さんが楽しみです。

 あなたはどう感じましたか?もし未読のあなたは、ぜひ本作を読んで確かめてみてください!

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