実写ドラマ｜ドクターキリコは、なぜ女性（石橋静河）なのか？

　2024年6月30日に放送の実写ドラマ「ブラックジャック」は、放送前から大きな話題を呼んでいます。

　ドクター・キリコが女性（石橋静河）として描かれるという設定変更がファンの間で議論を巻き起こしています。

　中学生だった私が、父の本棚にあった古いチャンピオンコミックの単行本を手に取って、ブラックジャックを読んだ時の衝撃は今でも忘れられません…。

　もともとドクター・キリコは軍医でした。

　ドクター・キリコは戦争で重傷を負った兵士たちが苦しむ様子を目の当たりにしました。もはや助かる見込みがないと判断し、兵士たちを毒薬で安楽死させましたが、彼らは恨むどころか「ありがとう」と心から感謝しながら亡くなっていきました。

　この経験から法律に触れないように注意しながら安楽死を請け負うようになりました。

　ブラックジャックと、ドクターキリコは、一見正反対の立場にいるように見えますが、共通しているのは、患者の幸福と尊厳を第一に考えるということ。

　本記事では、なぜこのような変更が行われたのか、その背景とファンの反応を詳しく見ていきます。

ドクター・キリコはなぜ女性なのか？！

制作側の意図

　波紋を広げているのは、6月20日の朝日新聞に掲載された番組プロデューサー飯田サヤカさんのインタビュー記事です。

引用元　朝日新聞

　キリコについて「なぜ自分で自分の死を決めてはいけないのか。いまだ答えの決まらぬ重い問いを、キリコは理路整然と突きつけ、BJのエゴを暴いてしまう。このドラマにも、絶対にいなくてはいけない存在だった」とした上で、キャラクターを女性に変更した理由をこう説明しています。

　「調べてみると、海外で安楽死をサポートする団体には、なぜか女性の姿が多い印象があった。脚本の森下佳子さんと相談しているうち、『優しい女神』のような存在が、苦しむ人のそばにいて死へと導くのかもしれない、と想像するようになった」と述べています。

　海外の安楽死をサポートする団体に女性が多いという事実が、設定変更の一因となっているようです。

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手塚るみ子さんのコメント

　手塚治虫さんの娘である手塚るみ子さんも、この設定変更について理解を示しています。

　彼女は、「今回のドラマ化は原作のエピソードも入れつつ、まったく違うオリジナルな創作と聞いています。これまでも手塚プロダクションは様々な二次創作において許容範囲を広げており、独自性が魅力になる場合もある」と述べています​ ​。

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ファンの反応

SNSでの反発

　X（旧ツイッター）では、「なぜキリコを女にしたのか」「またテレビの原作改変か」といった不満の声が多く上がっています。

　特に、公開された石橋静河さんが演じるドクター・キリコの姿に対しては、「謎の性別変更」「カツラ丸出しの髪型」「キリコらしさのかけらもない表情」といった批判が見られます​ ​。

　また、「ドクターキリコが安楽死を始めた理由が軍医の時の経験であることからして、男性じゃないと成立しないのでは」という意見もあります。

擁護の声

　一方で、一部のファンからは、新しい解釈や独自性を楽しみにしているという声もあります。手塚るみ子さんのコメントに賛同し、制作チームの創造的な挑戦を支持する意見も見受けられます​ ​。

実写化の難しさと期待

　原作のファンにとって、キャラクターの設定や物語の改変は敏感な問題です。

　しかし、実写化には常に新しい視点や解釈が求められ、それが作品の魅力を増すこともあります。制作チームは、この設定変更を通じて「ブラックジャック」の新たな魅力を引き出し、視聴者に深い感動を与えたいと考えているようです。

まとめ

　実写版「ブラックジャック」におけるドクター・キリコの女性化は、大きな議論を呼んでいます。制作側の意図や手塚るみ子さんのコメントを通じて、その背景を理解することができますが、ファンの反応は賛否両論です。

　

　私は、はじめてブラックジャックを読んでから、ブラックジャックとドクターキリコの対決を通じて、手塚治虫さんは医療の現場だけでなく、人生そのものにおける大切な価値観を問い直す機会を私たちに与えてくれているような気がします。

　もし、ブラックジャックの原作を読んだことがない方は、ドラマだけでなく、ぜひ原作を読んでみてください。

　手塚漫画の原点ともいえる「命」とは何か「愛」とは何か、きっとさまざまな気付きがあると思います。